乳がんの転移と局所再発はなぜ起こるのか

手術などで一度治療を行った後、
再びがんがあらわれることを「再発」といいます。

乳がんの再発では、切除した側の乳房や
その周辺にあらわれるのが「局所再発」で、
温存した乳房にあらわれる「乳房内再発」や
リンパ節にあらわれる「リンパ節再発」などがあります。

また、がんが乳房から離れた組織や
臓器に飛び火したものを「遠隔転移」と呼びます。

リンパ液の流れにのり、腋窩、鎖骨下、
胸骨傍リンパ節へ広がるものを「リンパ行性転移」、
血液の流れにのり、骨、肺、肝臓などに
転移するものを「血行性転移」、
直接、腹腔や胸腔内でちらばり転移するものを
「播種性転移」といいます。

乳がんでは骨、リンパ節、皮膚などに転移することが多く、
肺、肝臓、胸膜、脳などにも転移します。

がんが完全に治った後に、
切除した乳房と反対側の乳房や、乳房温存療法で残っている部分に
新しい乳がんが出てくることがあります。

この場合は、再発乳がんではなく「多発乳がん」と呼びます

病期0~Ⅲ期の手術後の再発率を見ると、
おおまかな推計ですが5年後に25%、1O年後に34%、
15年後に39%、2O年後には実に44%に達しています。

手術に際しては必要に応じて放射線療法や薬物療法を併用し、
微小転移の根絶を徹底的にはかっています。

にもかかわらず、なぜ乳がんの再発は手術後、
時間がたつと増えるのでしょうか。

局所再発と呼ばれる乳房内再発などでは
手術時にがんを取り残したという可能性もありますが、
生命をおびやかす遠隔再発(転移)には、
手術などの局所治療が不十分なために再発することは、
まったくないことがわかってきました。

最近の研究では、がん細胞に関連する細胞が、
乳房周辺だけでなく早期乳がんの段階から
骨髄などにも潜んでいるから転移が起こると理解されています。

これはがん細胞の発生した初期の細胞、
つまり「がん幹細胞(Cancer stem cell)」が発見され、
一見、正常細胞に近い性格をしたがん細胞が
潜んでいることがわかってきたからです。

がん幹細胞は通常のがん細胞や、
その元になった乳腺の上皮細胞ではなく、
植物の種子のように一種の休眠・潜伏状態の細胞です。

人間は、1個の受精卵が分裂を重ね、
器官や組織ができ、胎児として成長していきます。

最初の細胞は「胚性幹細胞」といい、
あらゆる種類の細胞に分化できます。

しかし多くの細胞は成熟する過程で、
特定の器官や組織にだけ分化するようになります。

分化した組織にあり、その組織で新たに
同じ成熟した細胞になる能力を持つ幹細胞を
「成体幹細胞」といいます。

乳腺の上皮細胞は分裂して代を重ねても、
乳腺上皮以外にはなりません。

つまり、成体幹細胞により新しい上皮細胞がつくられます。

分化の範囲は胚性幹細胞よりも限られるものの、
成体になっても成熟した新しい同じタイプの
細胞をつくる能力のある細胞です。

成体幹細胞は各組織に存在し、
骨髄中の成体幹細胞である造血幹細胞は
赤血球や白血球に分化します。

しかし、肝臓などの細胞に分化する能力はありません。
そのほか肝臓には肝幹細胞、消化管などには上皮幹細胞、
脳などには神経幹細胞、生殖器には生殖幹細胞などがあります。

乳がんでは、乳腺上皮細胞の遺伝子に
何らかの原因で傷がついてがん細胞が生まれます。

正常な細胞は隣の細胞と接触すると分裂をやめますが、
がん細胞は栄養が補給されるかぎり、無秩序に増殖します。

乳がんとして発見できるのは平均で直径5mm程度、
細胞数では1O億個前後であるとされています。

乳がんが発見され、手術・放射線・薬剤と治療が行われ、
がん細胞の数はほとんどゼロになります。

この時点で、乳がんの治療は終了するはずです。

ところが、がん細胞が骨髄などにもぐり込んでいれば、
ゼロになったとはいえません。

肝臓などに少しでも残っていれば、
数年後に必ず大きな腫瘍となって発見されます。

これが再発です。

この幹細胞は治療期間には活動することなく
静かにしています。

手術後にホルモン療法剤・抗がん剤・
分子標的薬を投与されても、
治療への抵抗性のあるがん細胞や幹細胞は
死滅することなくどこかで生き残ります。


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