がん治療における「インフォームド・チョイス」とは?


がん治療における「インフォームド・チョイス」とは?

インフォームド・コンセントよりも
さらに進化した概念は、
「インフォームド・チョイス」と呼ばれます。

「十分な情報を得た上での自らの選択」という意味です。

インフォームド・コンセントは、
医師が治療法を選択して患者さんに提案し、
患者さんがそれに同意するものです。

これはまだ、全面的には患者主体になっていません。

インフォームド・チョイスのほうは
「同意」でなく「選択」であり、
もっぱら患者さんの自己決定権に基づくものです。

むろん、医療者側は、患者さんが選択できるよう、
正しい情報を提供しなければなりません。

アメリカで10年以上前、患者の選択と自己決定権に関連して
医師が訴えられるという事件がありました。

40代の女性が、「子宮がん検診についてきっちりと
情報を与えられなかったため、
検診による早期発見の機会を失った」として、
医師を訴えたのです。

このような訴訟をきっかけにして、
アメリカでは1990年に患者の自己決定権法が成立しました。

自己決定権が法律で擁護されたことは、
インフォームド・コンセントから
インフォームド・チョイスへの時代の幕開けを意味しています。

これからの時代はがんに限らず、
医療は予防にシフトしていきます。

そうなれば患者さんのより主体的な判断と選択がますます重要になり、
医療者が情報を提供した上で患者の自己決定に
委ねるという流れは必然といえます。

医師(医療機関)と患者さんの間にかわされる書類も同意書ではなく、
リクエスト・フォーム、すなわち要求書、
注文書といった形になるでしょう。


日本では、医師が提示した治療方針に対して、
患者さんが「少し考えさせて」というだけで、
不機嫌になったり、「知りませんよ」と脅してくる医師も多いので
まだまだこのレベルには至りません。

しかし、こういった医師の態度は「常識」ではなく、
古い慣習でしかありません。

患者さんが迷い、判断を決めかねるときは、
医師はさらなる情報を説明して、
納得のできる意思決定をサポートしなければなりません。


今はもう、そういう時代です。


患者さんとしては、次のよな確認事項を用意したうえで、
医師に納得いくまで説明してもらいましょう。

がん治療は命と人生を左右する、重大な選択だからです。


【患者さんとして確認すべきこと】


・どんな病気なのか。放置しておいてよいか

・自分の病気に関連して行われている処置は
 どのようなものがあるか

・問題を解決するのに、他の方法はあるか

・標準的な方法はどんなものか、
 従来この施設(病院)ではどんな方法が用いられていたか

・勧められた方法および他の方法の長所と短所。
 この方法がベストであるか

・この方法の危険性、副作用、後遺症

・この方法の内容と経済的、身体的負担

・この方法を受け入れなければどうなるか

・説明されたことを、身内や友人に自分の言葉で伝えられるか

・自分の疑問にすべて答えてもらったか

・この方法で自分の得られる利益は、
 可能性のあるリスクを上回ると思うか


などです。